製本の技術的な話題や役立つ情報、またイベントなどの情報をお伝えします。
八潮工場内にAEDを設置
なにをそんな大げさな、と考える前に現実に色々な所から聞こえてくる工場内での心筋梗塞や色々な救急車の出動が必要になってしまう事柄への対処です。
今までは1台結構な値段で買取をしメンテナンスの問題他迷う事が多かったのです。SECOMのレンタルシステムがそれを解決してくれました。
勿論、社内でのCPRの講習も実施、宝の持ち腐れにはしませんよ。
八潮に新しい物件を借りました
埼玉へ引っ越した当初、吉川の工場兼倉庫では絶対に在庫品の収容能力が足りないと悩んでいた。そんな時にうちに空いている場所があるからといって貸してくれた同業仲間は本当に有難かった。
ただ作業効率と管理の問題を考え、丁度不動産業者からの紹介もあり思い切って此方に引っ越すことにした。
何れは八潮第2工場になる予定です。
背中の開きの良い並製を作りたい
もう1年以上前になるだろうか、あるお得意先から「背中の開きの良い並製を作りたい、しかし公開本はだめPURも使いたくない」 という要望があった。
いや、悩みましたね。その結果が写真のような本となりました。
ただ、幾ら技術的に背中を柔らかくする事が出来ても本文紙や表紙の素材自体が硬い物だとどうしようもありません。それなりに柔らかい素材を選んで作るしかないようです。
並製本が壊れることがあるらしい
大豆インクで印刷された刷本はホットメルトで並製にした場合壊れることがある。
こんな話を聞いて、まさかそんな事は無いだろうと思う。もしあるとすればインクに混ぜる乾燥剤(有機溶剤)が悪さをしているのだろうと予想をしながら、親しい接着剤会社の営業に連絡をする。
たしかに最近そのようなことが起こっているらしい。短納期で印刷をして納品をするために多めに乾燥剤を入れる。その結果、ホットメルトがアタックされて解け始め本が壊れると言う筋書きです。だからこの現象は大豆インクで印刷された刷本だけでなく通常のインクで刷られたものでも起きる可能性はあると言うことでした。
見分け方? やたら揮発性の匂いをさせる刷本には要注意だそうです。
石州の和紙で出来ている本
実はこの本、表紙の芯紙以外全て石州の和紙で出来ている。本来本文紙はともかく、表紙や見返し用紙に手漉きの和紙を使うことは製本工程の難易度をとんでもなく引き上げる。しかし企画の段階で紙漉きを担当される久保田氏とお話できる機会があり何とかクリアすることが出来た。
それにしてもこの薄い本文紙をオフセットで印刷してしまう印刷会社の技術には頭が下がる思いだった。限定200部で刊行されたこの本の奥付にはこう印刷されている。
埋み火 南島尚歯譚
2003年6月22日刊行
200部限定 非売品
著 述 稲垣尚友
紙漉き 久保田保一(石州半紙技術者会)
印 刷 田村光治(江川堂印刷)
装 丁 桂川 潤
編 集 菅原啓州
刊 行 菅原恵子(書肆えれほん)
刊行所 有限会社えれほん
なお、この本の上製、角背の物が10月に発売される。
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